知的財産戦略推進事務局 知的財産戦略推進事務局
HOME 何をするの?知財戦略 知的財産Q&A 会議情報 海外情報
 事務局長の「ひとこと」 このコーナーの記事は私見に基づくものであり、知的財産戦略推進事務局の公式な見解を示すものではありません。
「電車男」の著作権は?

内閣官房 知的財産戦略推進事務局長 荒井 寿光

今話題の「電車男」(新潮社)を、ドキドキしながら読み終えた。とても面白い。インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に書き込まれた純愛ドラマで、「彼女いない歴22年」のオタク青年が、電車の中で、酔っ払いの老人から救った女性から、エルメスの紅茶カップを送られ、掲示板の住人たちの応援で、愛が発展してゆくラブストーリー。名前も顔も知らない不特定多数のインターネット仲間の書き込みという"デジタル創作物"を出版したところが新しい。

仕事柄、こういうときは、著作権はどうなるのだろうかと思ったら、さすが意識の高い出版社。チャンと末尾に断り書きがある。
「2ちゃんねる上における各投稿者の著作権自体は放棄されていませんが、一次著作者の特定及び証明が困難であること、ネット上の匿名共有リソースであり、基本的に連絡先不明の投稿であることから、著作隣接権者である2ちゃんねるに許諾を得ることで使用しています。」「勝手ながら原投稿者の方には、無償転載をご了承いただきたく存じます。」
現在の著作権制度は、不特定多数の匿名の著作者を想定していないので、このような法的には不安定な一方的な宣言にならざるをえないのだろう。

著作権の期間は死後50年だが、これは、芸術家は寿命が短く、作品の評価は死んでから上がる、生存期間中は貧乏な暮らしをして子供にも負担をかけたという考えが背景にあるのだろう。
この本の主役の「電車男」が22才とすれば、余命は約60年。それに死後50年を加えると、著作権の期間は合計110年。研究者が発明したら特許による保護は20年。これの約5倍の長さ。また、インターネットやコンピュータで創作している人は、創作自身に喜びを感じ、権利を求めない人や長期の保護を求めない人も多いと思われる。
知財推進計画に「デジタル時代に対応した法制度の在り方について検討する」とあるが、この本はいろいろな問題を浮き彫りにしている。IT革命はどんどん進んでおり、法制度を含めた総合的な検討を早急に行うことが求められている。


内閣官房 知的財産戦略推進事務局長 荒井 寿光


過去の「ひとこと」


ご意見、お問い合わせ サイトマップ
(C) Copyright : 内閣官房 知的財産戦略推進事務局

電車男 - 2ch-Library